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晴&直 楽しいね♪

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レジュメ

    「直樹のコミュニケーション」 ~**家のくらしより~
                                                               byはる・なお
<子どもたちの紹介>
子どもの名前は**直樹です。平成12年2月16日産まれで7歳,今は**養護学校小学部の2年生です。兄弟で双子の兄,晴樹がいます。同じく**養護学校に通っています。二人とも3歳の時に精神遅滞を伴う自閉症スペクトラムと診断されました。双子と言っても一人ひとり違った個性(特性)で、もちろんコミュニケーションのとり方も違います。今回は,発語の少ない直樹のことについて紹介させていただきます。
言葉がとても苦手で,超多動児です。止まっている時は食べている時か病気の時だけ,と言う感じです。半面,色や形や文字を瞬時に見分けることが得意であったり,絵や写真だと細かい所まで読み取る事ができたりします。おもちゃは細かい物をパラパラしたり眺めたり,文字の書かれたパズルや積木を並べて遊んだりするのが好きです。最近は言葉に興味が出てきて人の話す言葉に傾聴したりマネたりしています。発達の段階は5歳9ヶ月の時に受けた新K式の発達指数は29で発達年齢は1歳8ヶ月という結果でした。
直樹の特性
  強いところ,得意なこと
    ・視覚から情報を取り入れて,細かいところまでよく見る。
    ・経験したことや見たことをよく記憶している。
    ・決まったやり方や手順を取り入れて実行する(左から右の流れに並べる,など)。
    ・興味のあることは集中して取り組む。
    ・人に絵(写真)カードを渡して,要求を伝えようとする。
  弱いところ,苦手なこと
・「すわって」「おしまい」などに日常生活での簡単で具体的な指示についても,理解することばが限られている。
    ・興味の幅が狭い。
    ・時間の流れがわからない。
  その他の特徴
    ・感覚面でのアンバランスがいろいろある(物を口に入れる,高いところに上る,鎖や光るものを好む,きれいな色や柄に反応する,など)。

<直樹の特徴を活かして家庭でしている支援>
我が家の視覚支援を含めて特性に対する支援・工夫の始まり(転居前)
3歳の時に自閉症だと診断されたときに先生から『話し言葉よりも,絵や写真カードの方がわかりやすいよ』と紹介してもらいました。この時は,『これからどうなるんやろう』と不安でいっぱいの時だったので,藁をもすがる思いで教えてもらった【カード】を作って使ってみました。
この時のカードは1枚がはがきサイズだったと思います。タイムリーに欲しい物が伝えられたらと思い,好きなキャラメルコーンとリンゴジュースそして嫌いなお茶の3枚のカードで始めました。後で先生に報告をすると,「初めは1枚から始めるのですよ」と,笑われました。
初めはカードの意味するところなどがわからず,わけがわからなかったようですが,2週間後に初めて直樹の方から食事をしていた私にリンゴジュースのカードを持ってきてくれました。この時は本当にうれしかったです。これでなんとかなる,やっていける,と思えた瞬間でもありました。

現在の住居の構造化(入学前に転居)
・子どもたちがほとんどの時間を過ごしているリビングと台所の配置や工夫(動画)として,以前の住居同様お菓子やおもちゃを人に伝えないと取れない高い位置(冷蔵庫の上や家具の上)に置いています
・子ども達に触られたくない物には目に見えないようキルトのカーテンをしました。刺激が減って触りたがることがなくなり,子どもは注意されることがなくなりました。親も注意することがなくなり,助かっています。

コミュニケーションに関する取り組み・工夫
・直樹のコミュニケーションブックの一部です。
・直樹はお菓子やおもちゃであそびたい時には,PECSの方法を使ってコミュニケーションを取っています。直樹は伝えたい事が伝えられるようになって便利になったなぁ~と感じていると思います。
親としても,想像するのではなく,直樹の伝えたい事がわかるようになってホットしています。直樹がコミュニケーションブックを使っている様子を見ていると,伝わった時とてもうれしそうな表情をしたり,自信を持って伝えたりしているのがわかります。(→動画)

えらぶということ
・直樹はパソコンで遊ぶのも好きですが,どのソフトのどれで遊びたいのかが伝えられず,親として理解できず,お互いにとても不便に感じていました。DVD・ビデオも同様でした。そこで,カードで要求できるようにすると「何で遊びたいのか,何を見たいのか」を,具体的にハッキリした形で伝えられるようになりました。直樹も感じていたであろうストレスから解消され,私も直樹の気持ちを理解することができました。パソコンに関しては,ソフトで要求して来た時に「その中のどれで遊びたいの?」と,ブックを使ってこちらから聞いたりすることもできるようになりました。

食事用ブックの活用
・食事用のコミュニケーションブックの必要性を感じたのは去年の冬に我が家は鍋が大流行し,双子の晴樹が言葉で「青梗菜!白菜!」と次から次食べたい野菜などを要求し食べているのに対して,直樹は親が想像する物を取ってもらいそれを食べていました。直樹の方から『**が食べたい』と言って同じように食べて欲しいと思い,食事用のブックを作りました。食事を取りながらカードで要求するのは同じ右手を使うので面倒かなと思いましたが,ブックを置かないと『取って来て』と催促したり,まれですが自分で用意したりしているので,やはり直樹にとって必要なんだと感じています。ただブックのサイズが大きいので置き場所に困ったりもします。もう少しコンパクトにできたらなと思い,現在の課題となっています。

かけひき(交渉)
(ビデオは去年の9月15日昼食の様子)→好きな物ばかりだと困りますが,「ごはんを食べたら**」とか,「**食べたらおかわり」と,かけひきもできるようになりました。

ほしいカードがない!
・『**が欲しい』と思っているのにそのカードが行方不明で伝えられない時はとてもこまった様子になります。伝えたいことが伝えられず怒りだしたりします。誰でも伝えたいことが伝えられないと辛くなると思います。欲しい物のカードがないので,困り果てた直樹は『ください』とだけ伝えてきました。(→動画)

てつだってカードの使用 
・困った時に,「てつだって」と援助を求められないと誰でも困ります。サラリと援助を求められるようになったらとても便利なので練習しています。今では容器のフタが開けられなかったり,お菓子の小袋が開けられなかったりすると,開けて欲しい物と『てつだってカード』を持ってきて伝えています。

属性語の使用―要求がより具体的に誰にでも伝わるように
・赤や青などの色や大・小など物を特定する手がかりになる属性語の練習もしています。家には大きいチェーンと小さいチェーンがあります。去年の4月から大小の練習を始め今では間違うことはありません。色は10月から練習を始め,わかりつつあります。我が家にはヘルパーさんに来てもらってるので,名称がわからず愛称や合図で決めていると伝わりません。誰にでもわかる属性語はとても大事だと思っています。色や大小・数の概念などの勉強にもつながると思います。

『まって』に応える
・外出中,急に雨が降ってきて施設に到着したときのことです。駐車場が離れているので,雨に当たらなくてもいいように玄関で先に子どもを車からおろして車を置いてくるまで少し待っていてくれたらなぁと思いました。他にも,ちょっとでいいしここで待っていて欲しいなぁと感じたことが数多くありました。この「ちょっと待つ」が,とても難しい直樹なので,『まって』に応える練習をしています。
・目で見て確認出来る『まってカード』を持ってるので,直樹は安心して待つ事を覚えつつあります。言葉だけだと理解が難しいのですが,この『まってカード』だと,このカードをもらったら大丈夫,相手を待っていよう・・・という気持ちになるようです。よくたとえで約束手形のようなものと言われていますが,ホントにその通りだと思います。今は直樹の要求時に『まってカード』を使っていますが,経験を積んで直樹の中で確たるものになった時には,私の都合で待っていて欲しくなった時にも使いたいと思っています。その時にはきっと安心して待てるようになっていると願っています。

<和やかなくらしあいを求めて>
(動画→最後に学校に行く前の朝食シーンです。)晴樹はまだ寝ていて直樹だけの朝食です。和やかに,なるべくストレスのない生活ができるようにと願っています。
今,直樹は人をとても意識するようになってきました。そして人と一緒にいる事が楽しかったり,居心地よく感じたりしているようにも見えます。それが今,私が一番うれしく思っていることです。

子ども達には社会に通じるよう正しいコミュニケーションの取り方を身に付け,人を信頼して何でも伝えられる様になってもらいたいと願っています。




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